人というものは基本的にうそをつきます。
いや、うそしかつかないとも言っていい。
さて、だとしたら、この文章はどうなるんでしょう。
絶対うそをつくといってる文章がうそだということは、
人はうそを付かないということになります。
しかし、うそをつかないといっていることが今度はひとがうそをつくという前提においていっている以上、
うそをつかないということはうそだということになり、
結局はうそをつくことになるわけです。
こんな話をしたところでまったくもって不毛です。
ところで、もしうそをつかないようになる薬があったとしたらどうなるでしょう。
生まれながらのうそつきという男がいます。
口からでまかせしか言わないような男です。
彼の名前は、とりあえずピスケということにしておきましょう。
ピスケのうそはかわいいものです。
特に誰かが傷つくというものではありません。
お金を巻き上げたりもしません。いわゆるホラという類のうそです。
しかも聞いていると楽しい。
はじめからうそだとわかることだから楽しめるのかもしれません。
今日もピスケは極上のうそをもってやってきました。
「ようピスケ。今日は何か面白い話はないのか」
赤ら顔の男が店にはいってきたピスケに向かってそういいました。
「あるさ、いつものように特上のやつがね」
ピスケはそういうといつもの席に腰を下ろしました。
ピスケが腰をおろすのが物語の始まりの合図です。
ここから先は誰も口なんて挟みません。
ただピスケの話を聞くだけです。
ピスケはおおきく深呼吸をすると突然大声お張り上げました。
「オレは大うそつきだ」
いきなり大声を上げたものですから、まわりにいたひとちたちはビックしました。
中には椅子からころげおちるものもいたくらいです。
「雪男って知ってるだろう」
ピスケは脈絡もなく話を続けました。
はじめに叫んだことなんて何もなかったかのようです。
でも、みんなは知っていました。
きっとこの話とはじめの出来事は後々関係して来るんだということを。
だから誰も何も口を挟むことなく、ピスケの話に聞き耳を立てていました。
「雪男といえば、雪山にすむという大男だ。でも、本当にあれは雪男なんだろうか。」
ピスケはみんなの顔を見渡しました。
誰もがよくはわからないというような表情を浮かべています。
それもそのはずです。
本当に雪男を見たなんてやつは少なくともここにはいなかったからです。
だから、雪男のことで何か言われたとしても一切本当かうそかなんてわからないのてす。、
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